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産業廃棄物処理業とは


廃棄物とは


 廃棄物処理法第2条第1項において、「廃棄物」とは、「ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動 物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染されたものを除く )」をいう。と定義されています。
 つまり、「廃棄物とはごみ等のことをいう」ということになりますが抽象的に過ぎるため説明になっていません。具体的にどういうものが廃棄物に該当するかは以下の通知が参考になります。


通知 行政処分の指針について(平成25年3月29日 環廃産発第1303299号)
(抜粋)
 「廃棄物とは、占有者が自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができないために不要となったものをいい・・・」
通知 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の施行について(昭和46年10月16日環整43号 改定昭和49年3月25日 環整36号)
(抜粋)
 「廃棄物とは、ごみ、粗大ごみ、汚でい、廃油、ふん尿その他の汚物又はその排出実態等からみて客観的に不要物として把握することができるものであって、気体状のもの及び放射性廃棄物を除く。固形状から液状に至るすべてのものをいうものであること。」
 なお、次のものは廃棄物処理法の対象となる廃棄物でないこと。
   ア 港湾、河川等のしゅんせつに伴って生ずる土砂その他これに類するもの
   イ 漁業活動に伴って漁網にかかった水産動植物等であって、当該漁業活動を行なった現場附近において排出したもの
   ウ 土砂及びもっぱら土地造成の目的となる土砂に準ずるもの

 つまり、上記ア、イ及びウ並びに気体状のもの及び放射性廃棄物以外の「買い手の無いごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの」が廃棄物に該当します。
 上記の基準によれば、不要物であっても買い手が有るのであれば「有価物」であるため、原則としては、廃棄物に該当しないことになります。
 ただし、有価物であれば廃棄物では無いと一律に判断することはできません。
 現在のところ、あるものが廃棄物であるかどうかは、①物の性状、②排出の状況、③通常の取扱い形態、④取引価値の有無及び⑤占有者の意思等の複数の要素を総合的に判断する総合判断説を採用しているためです。
 総合判断説については以下の判例や通知が参考になります。


通知 野積みされた使用済みタイヤの適正処理について (平成12年07月24日 衛環65号)
通知 行政処分の指針について(平成25年3月29日 環廃産発第1303299号)
通知 建設汚泥処理物の廃棄物該当性の判断指針について(平成17年7月25日環廃産発第050725002号)
判例 最高裁判所第二小法廷 平成11年03月10日 (おから裁判)

 上記総合判断説によれば、「売却できる物が有価物」、「売却できない物が廃棄物」のように、取引価値の有無によって、単純に判断することはできません。
 売却できる場合であっても、他の要素(ものの品質、保管や品質管理、製品市場の有無、経済的合理性の有無)が廃棄物と判断されるとなれば廃棄物となり、処理費を支払っている場合であっても他の要素が有用物と判断されるとなれば廃棄物ではないということもあり得ます。
 上記のように廃棄物該当性の判断は非常に難しいものと言えます。有用物として運用しなければリサイクルができない、コストがかかる等の理由がない限り、廃棄物として管理したほうが無難です。


廃棄物の種類


 廃棄物は、事業活動に伴って生じる「産業廃棄物」と、それ以外の「一般廃棄物」に大分されます。 このうち、「特別管理一般廃棄物」および「特別管理産業廃棄物」は、毒性などで健康や生活環境に被害を生じる恐れのある廃棄物を示します。


「産業廃棄物」は、事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物(20種類)に限定されており、それ以外のものはすべて一般廃棄物になります。
なお、事業活動とは、不特定の人を対象に社会性をもって反復継続して行うことを意味し、営利目的かどうかは問いません。したがって、工場、事務所、店舗、飲食店、病院、学校、個人事業など、規模の大小にかかわらず、すべて該当します。


産業廃棄物(特別管理産業廃棄物を含みます)についての分類は、産業廃棄物の分類をご覧下さい。


廃棄物の種類

産業廃棄物処理業とは


 産業廃棄物処理業は大きく分けると収集運搬業と処分業があり、産業廃棄物(特別管理産業廃棄物)の収集運搬又は処分を業として行おうとする事業者は、その区域を管轄する都道府県知事の許可を受けなければなりません。 その際、収集運搬業者においては、産業廃棄物を積込む場所(排出先)と降ろす場所(処分先)の両方に係る都道府県知事の許可を取得しなければなりません。さらに、積替えを伴う収集又は運搬に係る許可については指定都市の長の許可も必要となります。

 なお、もっぱら再生利用の目的となる産業廃棄物又は一般廃棄物( 通称「もっぱら物」)、すなわち古紙、くず鉄、あきびん類、古繊維( 昭和46 年10 月16 日環整第43 号通知) のみを再生目的で扱う業者( 通称「もっぱら業者」) は、廃棄物の処理業者では ありますが、処理業の許可を必要としません。「もっぱら業者」にもっぱら再生利用の目的となる産業廃棄物の処理( 再生利 用のための収集運搬及び処分に限る。) を委託する際は、マニフェストを交付する必要はありませんが、廃棄物の処理委託契約書は必要となります。また、この場合であっても引渡し伝票などで記録を残しておくことが求められます。

 また、平成23年の法改正により、建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理については、その建設工事の元請業者が廃棄物処理法上の排出事業者としての責任を有することが明記されました。(法第第21条の3、施行規則第18条の2、環廃産第110329004)
 これにより、元請業者は、発注者から請け負った建設工事(下請負人に行わせるものを含む。)に伴い生ずる廃棄物の処理について事業者として自ら適正に処理を行い、又は委託基準に則って適正に処理を委託しなければならないこととなりました。
 また、原則として、下請負人は廃棄物処理業の許可及び元請業者からの処理委託がなければ廃棄物の運搬又は処分を行うことはできないことになります。(例外規定:法第21条の3第3項、施行規則第18条の2、法第21条の3第4項)
 違反した場合、運搬した下請業者だけでなく、排出事業者(元請業者)も罰則対象になります。


 業として行うとは、廃棄物の収集又は運搬を特定又は不特定の人を対象に社会性をもって反復継続して行うことを意味し、無償で行うか、処理料金を受け取るかを問いません。
 排出者が自ら運搬・処理する場合は、「業」でないので、許可の対象とはなりません。ただし、排出事業者による自社運搬の場合であっても、車両表示及び書面携帯は義務付けられます。また、廃棄物処理法15条の処理施設を設置する場合は自社物の排出事業者であっても許可が必要になります。


廃棄物処理業の分類

収集運搬業許可


 産業廃棄物を排出した場所から処理する場所へ運搬するために必要な許可です。排出者が自ら運搬・処理する場合は、許可の対象とはなりません。(ただし、排出事業者による自社運搬の場合であっても、車両表示及び書面携帯は義務付けられます。)

産業廃棄物収集運搬業許可は、産業廃棄物の積み降ろしを行う場所を管轄する都道府県知事へ許可を受けなければなりません。この許可には、保管積替できない許可と保管積替できる許可があります。


収集運搬業許可(積替え保管を含む)


 積替え保管とは、排出事業者から、処分事業者(中間処理施設又は最終処分場)へ、産業廃棄物を運搬する際に、廃棄物を一時的に保管して積替えを行うことをいいます。積替え保管の許可がないと、排出元から処理場へは直行しないといけません。 一定量たまってから運搬するほうが運送コストも減らせますし、逆に、一定以上の量でないと処理場が受け入れてくれない処理場もあります。 保管場所ごとに許可が必要となりますが、自社廃棄物の場合は許可は不要です。ただし、保管基準は適用されます。また、自社物の保管でも建設廃棄物を一定面積以上事業場外で保管をしようとする場合は届け出が必要となり、自治体によっては条例等で届出の対象の廃棄物を追加したり、面積・保管場所要件を強化しているため注意が必要です。

 産業廃棄物の積替・保管施設については、周囲の環境に悪影響を及ぼさないよう、様々な基準(自治体により異なります。愛知県の場合、立地、構造、維持管理、保管に関する基準等)が設けられ、許可を取得するにはこの基準を満たす必要があります。 (なお、収集運搬業(積替え保管を除く)の許可の申請自治体は平成23年4月1日から県単位に一本化されましたが、処分業又は積替え保管施設の設置場所が、当該事務処理権限の移譲済みの政令指定都市又は中核市にある場合は申請先自治体は当該市になります。)


処分業許可


 産業廃棄物を処分する際に必要となる許可です。事業の区分として中間処理と最終処分があります。
・中間処理とは最終処分を行うために、分別・減容・無害化・安定化などの処理をすることをいいます。
・最終処分とは埋没等により廃棄物を処理、又は再生することをいいます。
 なお、法律上、最終処分には「再生」が含まれるため、中間処理業者が廃棄物を処分した結果、有価物として販売できた場合は、「再生」をしたことになるため、当該中間処理業者は最終処分を行ったことになります。政令7条に定める、処理能力が一定の規模以上の中間処理施設は、廃棄物処理法15条に基づく産業廃棄物処理施設の設置許可が必要です。自社廃棄物の処理でもこの施設を設置する場合には、許可が必要です。当該処理施設を持って営業する場合は、処分業の許可も必要になります。


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