建設業許可取得後の手続き
◎建設業許可の更新
建設業許可の有効期間は、許可のあった日から5年です。引き続き建設業を営む場合には建設業許可の更新をしなければなりません。
更新の受付期間 | |
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愛知県知事許可 | 5年間の有効期間が満了となる日の3ヶ月前から30日前まで |
大臣許可 | 5年間の有効期間が満了となる日の6ヶ月前から30日前まで |
更新手続をする際には、それまでの期間に関する毎年の決算変更届(事業年度終了届)及び各種変更届を提出していなければ、建設業許可の更新が出来ないので注意が必要です。
◎建設業許可業者に課せられる義務
建設業許可を受けた者に対しては、一定額以上の建設業の営業が認められる反面、許可行政庁への届出義務等の様々な義務が課せられることになります。以下、代表的なものを記載します。
これらの義務に違反した場合には業務改善命令、営業停止、許可の取り消し等の行政処分の対象となるばかりか、逮捕、刑罰の適用などが行われることもあります。 更に、行政処分を受けた場合には、処分内容が行政庁のホームページ等で公表されることとなるため、公共工事については発注者からの指名停止、民間工事についても顧客からの信用力の低下等、場合によっては事業を廃止せざるを得ないような状況に追い込まれる可能性があります。
①許可行政庁への届出義務について
決算変更届(事業年度終了届)
建設業許可を受けた後には、決算期終了後4ヵ月以内に決算報告書を届け出ることが義務付けられています。
その他の変更届
役員 | 役員の就任 (事実発生後30日以内) |
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役員の退任(事実発生後30日以内) | |
役員の変更(常勤⇔非常勤) (事実発生後30日以内) | |
役員の氏名の変更 (事実発生後30日以内)) | |
個人 | 個人事業主の氏名の変更 (事実発生後30日以内) |
役員の退任(事実発生後30日以内) | |
支配人の退任(事実発生後30日以内) | |
令第3条に規定する使用人の交替 (事実発生後2週間以内) | |
営業所 | 「主たる営業所」の所在地変更 (事実発生後30日以内) |
既存営業所の名称、業種、所在地の変更 (業種の変更の場合は、専任技術者についての届けも必要) (事実発生後30日以内) | |
営業所の新設 (専任技術者についての届けも必要) (事実発生後30日以内) | |
営業所の廃止 (専任技術者についての届けも必要) (事実発生後30日以内) | |
経営業務の管理責任者及び技術者 | 経営業務管理責任者の変更更 (事実発生後2週間以内) |
専任技術者の変更 (事実発生後2週間以内) | |
国家資格者・監理技術者の変更・追加 (毎営業年度経過後4月以内) | |
国家資格者・監理技術者の削除 (毎営業年度経過後4月以内) | |
その他 | 商号の変更 (事実発生後30日以内) |
資本金の変更 (事実発生後30日以内) | |
廃業届 (事実発生後30日以内) |
②標識の掲示、帳簿の備付・保存義務
標識の掲示
建設業の許可を受けた者はその店舗及び建設工事の現場ごとに公衆の見やすい場所に、標識を掲げなければなりません。工事現場に掲げる標識(建設業許可票)は、元請・下請を問わず施工に当たる全ての許可業者が掲示する必要があります。
帳簿の備付・保存義務
建設業の許可を受けた者は、営業所ごとに請負契約の内容を適切に整理した帳簿を備えておかなければなりません。帳簿については5年間の保存義務が課せられています。
③契約締結に関する義務
請負契約の締結に関しては、着工前書面契約の徹底、契約書面への記載必須事項の規定等の義務があります。
また、自己の取引上の地位を不当に利用して工事原価に満たない価格で工事契約の締結を強制する行為や、契約後に自己の取引上の地位を利用して当該工事に使用する資材等の購入先を指定して請負人の利益を害する行為についても禁止されています。
④工事現場における施工体制等に関する義務
(1)工事現場への主任技術者等の配置義務
主任技術者とは当該工事に関する一般建設業許可の営業所専任技術者の資格要件を満たす者のことをいい、監理技術者とは当該工事に関する特定建設業許可の営業所専任技術者の資格を満たす者のことをいいます。
建設業の許可を取得した者は、元請下請の別に関わらず、すべての工事現場に主任技術者(又は監理技術者)を配置しなければなりません(JV工事についてはすべての構成員がこのような技術者を現場に配置することになります。)。
(2)工事現場への主任技術者等の専任配置義務
個人住宅を除くほとんどの工事では、請負代金の額が2,500万円(建築一式工事の場合は5,000万円)以上の工事に係る主任技術者または監理技術者は、当該工事現場に専任しなければならず、他の工事現場との兼務ができないこととなっています。
(3)一括下請負の禁止
請負った工事について他者に一括して下請負する行為、他者から工事を一括して下請負される行為の双方が禁止されています。
(4)特定建設業許可業者に関する義務
ア 施工体制台帳・施工体系図の作成義務発注者から工事を直接請け負った特定建設業許可業者が、3,000万円(建築一式工事については4,500万円)以上を下請負して工事を施工する場合にあっては、当該工事に係るすべての下請業者を明らかとする施行体制台帳等を作成する必要があります。
イ 下請負人への指導義務発注者から工事を直接請け負った特定建設業許可業者には、当該工事に係るすべての下請業者に対する法令尊守指導の実施のほか、法令違反を是正しない下請負人があった場合の行政庁への通報義務が課せられています。
⑤下請代金の支払いに関する義務
(1)下請代金の支払期日に関する義務
注文者から請け負い代金の出来高払又は竣工払を受けたときは、その支払の対象となった工事を施工した下請負人に対して、相当する下請代金を1ヶ月以内に支払わなければなりません。
(2)特定建設業許可業者に関する義務
ア 下請代金の支払期日の特例
特定建設業許可業者にあっては、前記(1)の期日、または、「下請負人(特定建設業許可業者又は資本金額が4,000万円以上の法人を除きます。)からの引渡し申出日から起算して50日以内の日」のいずれか早い期日内に下請代金の支払いを行うことが必要です。
イ 割引困難な手形による支払の禁止
特定建設業許可業者が、下請代金の支払いを一般の金融機関による割引を受けることが困難と認められる手形により行う行為については禁止されています。手形サイトが120日を越える手形については、割引困難な手形としてみなされますので、注意が必要です。
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